「少年たち 闇を突き抜けて」抱えきれないものを分け合ってくれるひとへ

2023年10月28日
「少年たち　闇を突き抜けて」
千穐楽おめでとうございます㊗️！
約1ヶ月間、お疲れ様でした。

今日で無事公演が終わるものの、おそらく観劇した多くの人が未だ彼らの世界に取り残されたまま、あのラストシーンの謎に狂わされていると思う。というか、私が狂わされすぎている。何あれ？何でしょう、あの終わり方？

ということで、那須担によるちょっとした考察を置いていきたいと思います。
（ちょくちょく私情が入るかもしれません）

えーと、まずね、那須くんの顔がとっても良かったです。（いきなり私情）
ていうかもう、美 少年皆さん顔が良すぎるね。うーーーん、美 少年過ぎ。顔が芸術。芸術作品がしゃべってた、あれは。

あと、どうしてもこれだけはちゃんとお礼を言いたい。
岩本さん、うきなすRivalの提供をありがとうございました＿＿＿＿
ひとまず年末にうきなす厨からお歳暮送ります。

はい。そろそろ考察いきましょう。
まず、「少年たち　闇を突き抜けて」のあらすじと公演期間中に私が抱えた疑問を置いておきます。

20XX年、日本。
平和で便利な、いつも通りの日々を送る人々。

しかしその平和な日常は、ある日突然、跡形もなく消え去る。
日本が、戦争状態に入ったのだ。

終戦後、荒廃した街で、生き延びるためにやむを得ず犯罪に手を染め、
刑務所に収監された少年たちがいた。

彼らは“赤”と“青”の2つの房に分けられ、日々ケンカに明け暮れるが、
それぞれが抱える悲しみや苦悩を知る中で、
少しずつ、仲間としての“絆”が芽生えていく。

そんな中、ある少年の弟が、生命の危機にひんしていることを知る一同。
無謀と知りながらも、彼らはついに、
この刑務所から脱獄しようと決意する。

“闇”のその先で、少年たちを待つ“未来”とは――。

「少年たち　闇を突き抜けて」パンフレットより

考察にもなってない私のこちらの疑問たちを解決すべく、本日の少年たちに挑みます＿＿＿＿ pic.twitter.com/dT8MRFcDsI

— あや (@2OO2__to) 2023年10月12日

結局、この少年たちの考察というのは、大きく言えば「大昇くんは何者？」「最後は何を伝えたかったの？」という話になると思ってる。
そして、大きなテーマはやはり、あらすじの締めにもなっている「“闇”のその先で、少年たちを待つ“未来”とは――。」だろう。

まず引用1枚目画像の謎。
大昇くんは何をしてこの刑務所に来たのだろうという点。
（私は、HiHi Jets・美 少年主演　2021年「少年たち　君にこの歌を」からの少年たちしか知らないということを前提に聞いてください。）

今回の少年たちは、これまでと比べると彼らの“過去”よりも、“過去を通してある現在と未来”に焦点が当てられていると感じているので、もしかしたら大昇くんがどんな罪を犯したのか、ということは今回のストーリーにおいてそれほど重要ではない可能性もある。

にしても、美 少年ほか5人が戦後に食糧を盗み捕まってしまうシーンがあるのにも関わらず、どう考えても今回のストーリーのキーパーソンである大昇くんが何の理由もなしに刑務所に入っているのは私が納得できない。（私が）
ということで、やっぱりちょっとはそこも考えてみたい。

戦争のシーンの後、現れるNorthの藤井・那須・金指。あの暗闇で青いスポットライト当てられる登場の仕方めちゃくちゃかっこいい。やばい。天才。
そこにやってくるSouthの浮所・龍我。はい、皆さんここ注目。いいですか、ここに大昇くんはいません。オッケー、次。
ここからNorth VS Southの激アツバチバチシーン。待って、ごめんなさい。ジュニアの皆さんがいつどこから登場してるのかは分からないので、それは一回置いておきます。
そしてやってくる配給車、食糧を奪う少年たち。そしてそれが見つかってしまうシーン。
・・・・え？ちょっと待って？大昇くん？
いつからいた？君はいつからSouth側にいた？え？一緒に盗んでた？なんで？なんか一緒に警察に囲まれながら歌ってるじゃん？何事？
＿＿＿ね。もう冒頭から大パニック。
ただ、この見つかってしまうシーンにジュニアたちもいる。
でも次のシーンは、Northの3人が通路で話した後の赤房のシーン。
そこのシーンを見てみると、すでに赤の竹村・堀口・木村・大昇がいて、そこに捕まったSouthのうきりゅが連れられてくる。このことから、おそらく、というか絶対に、うきりゅより先にジュニアと大昇はこの刑務所に入っている。
これを考えると、あの見つかってしまうシーンの謎のジュニアと大昇は、彼らとは別人という設定なのか？・・・2幕の最初の看守のシーンでも、「あれ？君囚人側だよね？」というジュニアたちが数合わせか何かで出ているから、もしかしたらそれもあり得るのかも。でもこんなに考察させるようなストーリーにしたのなら、徹底的にその一つの役に徹していただかないと、私の頭がパニックで爆発してしまうので勘弁してほしい（笑）

ということで、なぜかあの場にいる大昇くんだけど、刑務所で出会ったときに大昇くんは龍我に「だれ？」と聞いているし、うきりゅはジュニアに「大昇って言うんだけど」とご紹介を受けているくらいなので、“大昇”というキャラクターはあの赤房のシーンで初めて出てきた人物だとする。
ていうか、ここの赤のシーン、本当に可愛いが過ぎる。初めて観に行ったとき、子ども返りする大昇くんのあまりの可愛さに地団駄踏んでしまった。（迷惑）りゅうがリーダーとブランコ乗りたい！な大昇くん、2人のケンカを止めに入る浮所お兄ちゃん。う゛う゛う゛サイコウ（泣）（泣）

すみません、戻ります。
となるとやはり、大昇くんとほか5人の捕まった理由は違いそう。そこで次に注目したいのは、North3人が通路で話すところの藤井くんのセリフ。

「食うために奪い、生きるために人を傷つけた。そんな僕たちは今、ここにいる」

というセリフがあり、その後に赤房のシーンにつながる。
5人は確かに、「食うために奪い」罪を犯した少年たちである。
じゃあ「生きるために人を傷つけた」のは？
わざわざこのセリフを言うのには理由があるんじゃないかと思う。この中に「生きるために人を傷つけた」少年がいるから、言うのではないか。ていうか「そんな僕たちは」と言っている時点で絶対にこの中に犯人がいる（名探偵コナンのBGM♪）
それが“看守長の家族を殺してしまった大昇”なのではないか＿＿という話。
でもよく考えたら「生きるために」大昇くんが看守長の家族を殺してしまう意味は分からない。ただ、この藤井くんのセリフは“大昇くんが殺してしまったのかも”という皆さんの考察が真実味を帯びるヒントではあると思う。

というところで一回この話は置いておきます。（置いちゃうんだ）

次に、引用2枚目画像の謎。
大昇くんの“記憶”に関して。

改めて整理しておくと、大昇くんは戦前と過去の記憶が蘇るときは一人称が「俺」、戦後＝記憶を失った現在は「僕」になる。
このストーリーは戦後がメインなので、基本的に大昇くんの一人称は「僕」だが、聞き逃していなければ2回ほど“現在の大昇くん”が「俺」と言うところがある。
1回目は、懲罰房にいる青に食事を届けた際、藤井くんに「何か思い出せないんですか、家族のこととか」と言われて「俺の家族…」と言うとき。このシーンの那須くんはふじかなたいの話そっちのけでパンをもぐもぐしているときがあって、大変可愛いです。
2回目は脱獄するときに「俺が囮になる」と言うとき。

10/12時点の私は、2回目の大昇くんがなぜ過去を思い出したのか、そもそも思い出したから何なのか？という完全思考回路停止状態にいたのですが、これに関して私が勝手に到着した着地点をお話していこうと思います。
（私は世の中の皆さんの考察をほぼ読まずにこれを書いているので、世はとっくにこの結論に至っているのかもしれないですが…）

過去の記憶を失くした大昇くんは、一世から日記をもらった直後は5人のことを「僕の記憶の最初の、生まれて初めての仲間」と記す。
それから毎日ともに過ごし、「ここが僕の居場所。みんなが僕の家族」と話すようになる。
その“家族”が目の前で看守長に銃を向けられそうになっている時、あの『キーーーーン』という記憶が蘇る合図のような音が鳴る。
きっとこのとき、大昇くんは、隊員に抑えられながら大好きな家族が目の前で空襲に巻き込まれてしまったあの光景を思い出したのではないかと思う。そこだけ断片的に、記憶が蘇ったのだとしたら。

「行かなきゃ。行かせてください。俺の家があるんだよ。家族がまだ残ってる」

近くにいながら、守れなかった家族。ただ見ることしかできなかったあの瞬間。
そして今、目の前で看守長に銃を向けられる“家族”。
このときの大昇くんは、記憶を失う前の“大昇”と記憶を失った現在の“大昇”が共存しているように思える。
あのとき守れなかった家族を、今、今度こそは、絶対に“家族”を守る。

「僕はここに残る。ここは僕の家だから」
「みんなは僕の家族だ。僕の夢は、家族を守ることだ」

大昇くんは囮になったことで、あのとき叶えられなかった夢を叶えられたんだろうな、と思う。

ここで1つ目の謎と関連して、もし、大昇くんが看守長の家族を殺してしまったのだとしたら。もし、出兵していた看守長が放った爆弾によって大昇くんの家族を殺してしまっていたのだとしたら。
大昇くんは『家族を守れなかった』ことだけを思い出したとすれば、自分が看守長の家族を殺してしまったことは知らないし、戦争中に自分の家族を殺した隊員なんて知る由もない。
看守長は「お前らのような少年に」家族を殺されたと話していて、誰が犯人かは分かっていないのかもしれないし、同じく戦争中にどこの誰を殺してしまったかなんて知る由もない。

本当は、お互いが、自分の大切な家族を殺した相手。

家族を守ることが夢である大昇。
家族を奪った少年犯罪者を葬るためにやってきた看守長。

そして、
大好きな家族を殺したその本人から、“家族”を守れた大昇。
大好きな家族を殺したその本人を、葬ることができた看守長。

お互いが知らぬ間に、その本人に対してあのときの夢を叶え、復讐を果たした＿＿＿
・・・・え、なんか嫌すぎるハッピーエンド。（嫌ならバッドエンドでは）

そして問題の最後。
最後を考える前に照兄、お願いです、あの5人の怒涛のセリフたちを全部教えてください（泣）
もうね、那須くんなんてあそこ全然声張らないからね、一生懸命双眼鏡で必殺・読唇術をするんですけどね、微塵も分からん。
途中藤井くんの「バカバカバカバカ！！！」が急に耳にぶっ刺さってくるだけで、もうほかはまったく分からないんですよ。

再び戻ってきた日常。再び手にすることができた日常。
そんな中突然始まるあの怒涛のブチ切れタイム。（キレてるのかすら分かんないけど）
静かに警棒で向日葵を斬りつける大昇。

ここ全体をひっくるめれば、考察されている皆さんがおっしゃるように、

“日常はいつか突然奪われる”

ということなんだと思う。

そして、大昇くんが斬りつけた部分が少年たちの『少』になるところ。
この舞台の最初にも『少』の字に血しぶきのようなものが付いて始まる。
終わりが始まりにつながっていることからも、

“そしてこれらはまた繰り返される”

ということなんだと思うのですが、
いろいろ置いておいてただ一つ。
なぜ「警棒」で斬ったんだろう…。

なぜ大昇くんは警棒を持っているのか。
脱獄シーンまで遡ると、大昇くんは鍵の開け方も知っていたし、カードキーまで持っていて、うきふじに道を教えられるくらい刑務所内部の構造を知っているし、最後のパスワードも知っていた。世の皆さん、大昇くんの可愛い😃👍🏻に笑っている場合ではない。
千井野が浮所くんに鍵を渡すシーンまで細かく描いているにもかかわらず、大昇くんがなぜここらへんを知っているのかを何も示さないのは照兄普通に怖い。（怖い）

ここでちょっと待ちましょう、皆さん。
開演前、ブランコだけあって私服のジュニアが通ったりするところ。
普通に考えれば、あれはこのストーリーの始まりなんだから、戦前であるはず。
でも大昇くんはすでに赤の囚人服を着て水やりをしている。
・・・え、これ大昇くん死んだ後じゃん、ってなってますよね、皆さん、ね？

じゃあこれが実際は、このストーリーの始まりではなく、終わりのその先、つまりあの終わりの続きだとしたら。
なぜ大昇くんが生き返っているのかは置いといて、もうすでに一度（と言わず、現実的な言い方をするとすれば何公演もやっているのだから何度も）脱獄を図ろうとし、“家族”を守るために囮になり…を経験しているのだとしたら、当然刑務所内の道は知っているはずだし、鍵だって開けられるし、パスワードだって知っている。
・・・・「ループもの！！！！！！！」（エンド召喚すな）

でもエンドを召喚しても、やはりあの大昇くんが警棒を持っている意味が分からない。
誰か何か考えられる人は教えていただきたい（泣）

「当たり前の日常こそが幸せなんだ」
というのが大きなテーマであるこの少年たち。

これまでにも散々言っているし、多くの皆さんが言っているけれど、
このストーリーは、当たり前だと思っている日常はいつか奪われ、夢を壊され、また夢を掴み、日常を手にする。そしてまたその日常を当たり前だと錯覚し、人々は絶望する。
そんな日々の繰り返しを描くことによって、“今ある日常を大切に生きよう”というメッセージを伝えているのだと思う。

戦争が勃発しそうな現在のこの世界で、日本はいつまでも平和であると過信しているこのときに、彼らに出会えたこと。
彼らはもしかしたら、これからの私たちの未来の姿かもしれない。
今だからこそ、この作品に出会えて良かったです。

この舞台に関わったすべての皆さん、
素敵な作品を本当にありがとうございました！

絶対にどこかでFlicky披露してね！（どさくさに紛れて願望投下）